女性にとって働きやすい訪問看護Part4
2022年11月18日
看護師が働きやすいと思える職場とは、どのような特徴があるのでしょうか。このコラムでは、看護師にとって働きやすい職場について解説します。給与の高い職場が必ずしも働きやすいとは限らず、看護師が気持ちよく働ける環境はまた別にあります。働きやすい職場に転職したいとお考えの看護師の方は、参考にしてみてください。
Contents
女性が働きやすい会社は多くない
女性の社会進出が進み、ダイバーシティや働き方改革に注目が集まっていますが、女性が働きやすい企業はいまだ多くないようです。
ソニー生命保険株式会社の「女性の活躍に関する意識調査2020」によると、職場で女性がいきいきと活躍していると回答した人は36.9%となっており、高い水準ではありませんでした。
結婚、出産、育児といったライフイベントをきっかけに、今までどおりの仕事を続けたくても、ポジションを変更されたり、育児などで時間的な制約があり、思いどおりに働けなかったりと、働く女性がストレスを抱えてしまう機会は多いようです。
また、男性と同じ成果を上げても、男性に比べて評価されにくく、昇進できないといった声もよく聞かれます。産休・育休制度が設けられている場合でも、実際に取得された実績がなく、経営者や上司に取得への理解がないという場合も考えられるでしょう。
その結果、働きたいのに会社を辞めるという選択肢を選ぶのは、非常に残念なことです。
看護師にとって働きやすい職場とは?
看護師が働きやすいと思える職場には、給与が高い、待遇が良いといった条件面のほかにも重要なことがいくつかあります。
ここでは、看護師が働きやすい職場と思うポイントについて解説していきます。
人間関係が良好である
職場の人間関係は、働くうえでとても重要です。あまり仲の良くない同期や怖い先輩などが同じシフトに入っていると、仕事に集中できないという方もいるでしょう。
人間関係の問題は、転職を検討する理由としてもよく挙げられます。
医師や看護師同士で良好な関係を築けている職場は、業務においてもコミュニケーションや連携がスムーズに行える場合が多いため働きやすいでしょう。
無理のないシフトで働ける
日勤と夜勤のバランスが良い、残業やイレギュラーな休日出勤を命じられることがないなど、無理のないシフトで働ける環境も看護師にとっては大切なポイントです。
人手がギリギリで誰かが欠勤するとすぐ休日出勤になる、シフトが夜勤にばかり偏るといった職場では、プライベートの自由が少なく体力も持たなくなってしまうでしょう。
自分の希望したシフト通りの勤務であれば、休日を予定通りに過ごせてプライベートも充実しやすくなります。
自身の体調やプライベートの用事なども加味して無理なく仕事ができるのも、働きやすい職場の条件の一つです。
有給の申請が通りやすい
看護師の有給申請をしっかり受理してくれる職場も、働きやすい職場であるといえます。
時期によっては有給の取得日をずらしてほしいと上長から打診されることもありますが、申請自体を妨害するのは違法である可能性が高いです。
また、違法だと分かっても大事にしたくないと我慢してしまう方もいます。
労働者の権利である有給をスムーズに取得させてくれる職場は、看護師にとって働きやすいといえるでしょう。
子育ての都合を配慮してくれる
子育てをしながら働く看護師に配慮してくれる職場も、働きやすい環境であることが多いです。
日勤のみのシフトや時短勤務をスムーズに受け入れてくれる病院は、小さな子どもを育てている看護師の強い味方といえるでしょう。
女性が働きやすい会社の5つの特徴
女性が働きやすい会社の特徴には、どのようなものがあるのでしょうか。
求人情報を見極め、転職を成功させていきいきと働くためにも、これらの特徴をしっかりと押さえておきましょう。
1.育児経験のある女性比率が高い
育児中の女性や育児経験のある女性の比率が高い企業は、女性にとって働きやすい会社である可能性が高いです。
育児と仕事を両立させることは自分自身の体力も重要ですが、それ以上に企業の理解やサポートが大切になります。
子育てに支障が出る環境の職場には、育児をしながら働く女性はほとんど残りません。
そのため、育児中や育児経験のある女性が多いかどうかは、女性にとって働きやすい環境であるかを見極める指標となるのです。
特に小さい子供は、突然熱を出したり、幼稚園や学校から呼び出しがあったりと、イレギュラーな事態が発生しやすくなります。
そのような際に、早退させてもらえたり、残業せずに帰らせてもらえたりする職場であれば、安心して育児に取り組めるでしょう。
また、育児経験のある女性が多いと、突発的な状況になっても、周りの人に共感してもらえ、サポートしてもらいやすいです。
たとえば、妊娠中に仕事をする辛さもわかってもらえるので、「妊娠を理由に仕事をさぼっている」といった言いがかりをつけられることもないでしょう。
男性の上司や同僚も、出産・育児を経験した女性に対する気づかいがあるので、仕事の進め方などに理解を示してくれる傾向があります。
2.管理職に育児経験者がいる
女性、男性にかかわらず、管理職に育児経験者がいることも重要なポイントです。
たとえ、女性が多い職場であっても、育児経験がなく、働き方への理解が不足している場合は、無理な勤務をしいられてしまうことが考えられます。
その点、管理職である上司が育児を経験していたら、時短勤務や早退に対しての理解も深く、融通が利きやすいでしょう。
上司や経営者の考え方で、働きやすさは大きく変わってきますので、転職口コミサイトや社員への質問、転職エージェントからの情報などでリアルな社風を調査しておくことをおすすめします。
3.残業が少ない
残業なしを推進している企業を選ぶことも重要です。
働き方改革が浸透している昨今は、残業に対する意識も変化してきていますが、いまだに残業を「がんばっている証拠」と考える企業や従業員は多くいます。
残業が常態化した企業で働くと、育児中に残業ができないというときに、毎回、他の人に自分の仕事をお願いすることになります。
快く引き受けてくれる従業員もいるとは思いますが、中には「楽をしている」と反感を持つ従業員もいるかもしれません。何よりもその状況に、自分自身がストレスを感じ、肩身の狭い思いをしてしまうはずです。
残業をしいられた場合、保育園のお迎えが遅れてしまうと、延長料金がかかってしまいます。
残業代をもらえるものの、全て延長料金に消えてしまえば元も子もないですし、サービス残業であれば赤字です。
残業のない企業であれば、定時の勤務時間内に、仕事を効率的に終わらせる習慣が根付いています。
また、定時で全員が帰れば、他の人に仕事を頼む必要もなくなります。定時を前提に仕事を進められますので、帰宅後の家事や育児のスケジュールも立てやすいでしょう。
4.有給が取りやすい
有給が取りやすいことも、働きやすい企業の要素となります。
なおかつ、育児中の女性従業員だけでなく、男性従業員や独身の女性従業員も、等しく有給を取得しやすい雰囲気であることが重要です。
というのも、育児中の女性だけが有給を取得しやすく、他の社員は休めないという職場の場合、人間関係に亀裂が入りやすいのです。
「こっちは休みを全然取れないのに、育児中の女性だけは自由に休めている。さらに、休んだ分の仕事のしわ寄せが、全てこちらに来ている」という状況であれば、不満が噴出してしまうのも仕方がありません。
育児中の女性が有給を取ることは何も悪くないことなのですが、その取得比率が不平等であると、嫌な思いをしてしまうことになるでしょう。
5.チームプレイが主体である
チームプレイを主体として仕事に取り組む企業も、女性にとって働きやすい環境です。
属人的な仕事が多ければ多いほど、仕事に穴をあけることができず、休みが取りづらくなりますし、他の人に仕事を頼む際も負担が大きくなってしまいます。
仕事が見える化された状態で、チーム全体でひとつの仕事をカバーし合える職場であれば、育児中にイレギュラーな事態が発生しても協力を得やすいはずです。
また、休んだ際に業務のしわ寄せが発生してしまった場合に、その原因を個人に求める社風の企業は避けるべきだといえます。
「あなたが何度も休むせいで皆に迷惑がかかっている」といった発言をするような上司がいる企業は、働きやすい企業とは反対に位置するでしょう。
育児、介護、体調不良…。どのような社員でも、様々な理由で、仕事を休むことになる可能性はあります。
そのようなときに、チームのメンバーが協力し合える職場であれば、長くいきいきと働けると考えられます。
看護師・保健師。訪問看護のビジナを運営。自由な社風が売り。新卒で病棟、訪問看護を経験した後、ビジナ起業。起業前から現場勤務の傍らでPRESIDENTオンラインやJBプレスに寄稿。現在は経営の傍らで英語論文も執筆。AERAドットやFRIDAYデジタルに取り組みが紹介されている。