徹底考察!!訪問看護を辞める理由

2023年1月23日

訪問看護師は、患者さん一人ひとりとじっくり向き合う看護ができ、看護師としても成長しやすいなど、非常にやりがいのある仕事です。しかし同時に不安やストレスを抱え込み疲弊しやすく、離職率が高い職場でもあります。

Contents

辞める前に訪問看護のやりがいをもう一度!

たしかに訪問看護師の仕事は、給与の水準に比べて求められるスキルは高く、感じる責任も重い仕事です。それは否定しません。

 

体力的・精神的な問題で「辞めたい」と感じることも多くありますが、本当に退職する前に今一度訪問看護の魅力を再確認してみましょう。

 

訪問看護辞める理由は何!?

訪問看護師の仕事を続けるべきか否かの判断を下す際は、自分がなぜ「辞めたい」と感じているかを分析し、理解することが大切です。

 

この記事では、訪問看護師の基本的な仕事内容と仕事を辞める方の主な理由、辞めたいと感じたときの対処方法を解説します。、ぜひご覧ください。

 

よくある!?訪問看護師を辞める理由

訪問看護師は、看護師の職場のなかでも離職率が高い職場です。

 

日本看護協会が公表した「訪問看護の伸び悩みに関するデータ」によると、訪問看護業界全体における看護師の離職率は15.0%です。

 

訪問看護業界の離職率については2011年のデータが最新のものであり、病院の離職率が12.6%であることと比べると高い水準であることが分かります。

(出典:日本看護協会「訪問看護の伸び悩みに関するデータ」

 

同データにおける訪問看護師の採用率は70%を超えており、離職率の高さと同時に就業率の高さも垣間見えます。

 

しかし、2019年のデータでは訪問看護ステーションの有効求人倍率は3.1倍と施設種類別で最も高く、なおも人手不足は続いていることが推測されます。

(出典:公益社団法人 日本看護協会「2019年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」結果」

 

ここでは、なぜ訪問看護師を辞める方が多く、人手不足が続くのか、訪問看護師の仕事を辞める方が挙げる主な退職理由について紹介します。

 

スキルに不安

訪問看護師として、自身のスキルや実力に不安を感じることが、退職を考える理由の1つです。

 

訪問看護の現場は、病院などへの勤務時とは異なり不安に思うことや判断に迷うことを、すぐに同僚や先輩に相談しにくい場合もあるでしょう。

 

1人で患者さんを訪問し、自分だけで対応・判断を行う必要があるため、ある程度の臨床経験が求められます。

 

また、病院の看護と訪問看護では必要とされる処置や使用する薬剤が異なる場合も多く、これまでとは違うスキルが必要になるケースもあります。

 

訪問看護を始めることで自身のスキル不足に気づき、退職を考える方もいるでしょう。

 

教育体制

教育体制・教育制度が不足している状況下では、十分な教育を受けられないまま訪問看護を行うこともあります。

 

訪問看護師の需要が増加するなか、人手不足に陥り必要な教育体制が整っていない訪問看護ステーションも少なくありません。

 

需要が高いステーションでは多くの利用者さんに対応するため、早い段階から先輩看護師が同行しなくなります。

 

実際に、先輩看護師が同行する期間は1か月以内であるステーションが7割を占めています。

 

(出典:神奈川県訪問看護推進協議会 「訪問看護ステーションにおける人材育成についての実態調査報告書」

 

緩和ケアやターミナルケアなど、介護ケアや終末期医療に関わる病棟での勤務が長い看護師さんをもってしても、訪問看護で必要なスキルは別物といわれます。

 

しかし、臨床経験の多い看護師さんは訪問看護でも対応力がある即戦力と見なされ、短期で単独訪問へ切り替えられることが多いでしょう。

 

責任が重い

訪問看護師は1人で患者さんのもとに訪問します。緊急のときでも1人で対応する必要があり、正確かつ迅速な判断が求められるため、大きなストレスや責任の重さを感じやすい仕事です。

 

また、訪問看護を利用する患者さんのなかには、病状の回復が見込めない方も珍しくありません。

 

訪問看護師の仕事は患者さんやご家族と密接に関わるため、患者さんが亡くなったときになかなか気持ちを切り替えられず、つらさを抱え込んでしまう看護師さんもいます。

 

体力的問題

訪問看護では、1日に複数の患者さん宅へ向かいます。地域の交通状況にもよりますが、訪問先の駐車場事情や移動中の渋滞回避などの理由により、自転車移動が主としているステーションもあります。

 

例えば訪問先同士の距離が2kmでも1日5件回った場合、10km以上を自転車で移動することになり、かなりの体力が必要です。

 

季節や天候によっては、実際の移動距離や訪問件数以上の疲労を覚えることもあるでしょう。車を用意する訪問看護ステーションもありますが、車の運転が苦手な方にとっては精神的な負担が大きくなります。

 

人間関係

訪問看護ステーションの看護職員数の平均は4~5人程度です。大規模な医療施設のような派閥問題は滅多に起こらないものの、少人数の職場にも難しさがあります。(出典:厚生労働省「訪問看護」

 

患者さんに適切なケアを提供するためには、少ない人員のなかでもうまく連携が取れるよう、人間関係への気遣いが必要です。

 

また、職場内だけでなく患者さんとの人間関係も大切となります。下記は、訪問看護で患者さんとの関係を構築するときに躓きやすいポイントです。

 

・専門用語や医療用語を多用し、患者さんの理解を得られない

・患者さんのケアに時間を取られ、コミュニケーションの時間が取れない

・看護師に対する緊張・遠慮を取り払えず、打ち解けてもらえない

 

職場や患者さんとの人間関係をうまく構築できないと、仕事そのものが苦痛に感じる場合もあります。

 

オンコールの負担

オンコール対応も、訪問看護師にとって負担が大きく退職理由の1つに挙げられる業務です。

 

オンコールとは、患者さんが急変した際などの緊急時に備え、呼び出しなどに応じられるよう待機することです。

 

ほとんどの訪問看護ステーションは24時間対応を取っているため、訪問看護師も持ち回りでオンコールを担当します。

 

オンコールの頻度や回数は施設によって異なるものの、休みの日や夜間でもオンコールの対応をする必要があり、気が休まらないと感じます。

 

職場によっては電話対応を行っても緊急訪問しないと代休や手当が出ないところや、そもそも手当が出ないところもあり、負担を感じやすいでしょう。

 

ビジナはお休みの日にオンコール持ちません!

 

給与

訪問看護の勤務時間は基本的に日勤のみであり、夜勤手当や残業手当などの加算があまりありません。

 

また、訪問看護ステーションは小規模のところが多く、役職手当などもつきにくいことから、病院に勤務する看護師さんと比較して給与が低くなる傾向にあります。

(出典:日本看護協会「訪問看護の伸び悩みに関するデータ」

 

しかし訪問看護では、日勤のみの勤務でも実際はオンコールへの待機や、高いスキルを求められるなど、看護師さんにはさまざまな負担を抱えます。責任や負担と給与とを比べて、わりに合わないと感じる方もいる状況です。

 

将来に対する不安

小規模事務所で働いている場合、キャリアプランを描きにくいことも退職を考える理由の1つに挙げられます。

 

特に、地域に根差した訪問看護ステーションの場合、事業所の管理者や役職者が固定化されているケースが珍しくありません。

 

今後の出世や昇進といったキャリアアップが期待できないことで、辞めたいと感じる方が多くいます。

 

また、人手不足で休みが取りにくい状況が続くと、私生活への影響も出てきます。

 

訪問看護の仕事に魅力を感じていても、プライベートとのバランスが取れないと仕事の継続を諦める方もいるでしょう。

 

もう少しだけ頑張ってみないか!!

訪問看護は看護スキルだけでなく、コミュニケーションスキルや柔軟な判断力も求められる、大変な仕事ですが、

 

地域社会に大きく貢献し、多くの方に感謝される非常にやりがいのある仕事です。 

 

訪問看護を辞めたいと思った時、その理由によっては訪問看護以外の仕事に転職したほうが良い場合もあると思います。 

 

しかし、もし辞めたい理由が今の職場で解決可能であったり、他の訪問看護であれば実現できるのであれば、再度訪問看護にチャレンジしてみてください。