訪問看護師の役割レポート

2023年2月8日

訪問看護の役割レポートを作りました。学生さんでも、訪問看護初めてのかたでも役立つ内容になっています。

Contents

訪問看護の役割とは!?

「病気や障がいがあっても、住み慣れた家で暮らしたい」「人生の最期を自宅で迎えたい」と望まれる方が増えています。

 

でも「家族だけで介護や医療的ケアができるだろうか」「一人暮らしだけど大丈夫?」と不安に思う方もおられることでしょう。そんな時、訪問看護師は在宅ケアサービス提供者の一員として在宅療養を支えます。

 

訪問看護の強みは、地域で暮らす赤ちゃんから高齢者まで全ての年代の方に、関係職種と協力しあって、一人ひとりに必要な支援が行えるところです。

 

このページでは、訪問看護ではどんな支援をするのか、利用したい時に誰に相談すれば良いのか、訪問看護の回数や時間、費用などについて具体的に紹介しています。

 

医療関係者や福祉関係者の皆様にも、訪問看護について知っていただき、住み慣れた地域で障がいや病気があっても暮らし続けたいと願う方々を共に支援していきたいと思っています。

 

訪問看護は、どんなサービス?

訪問看護とは、看護師などが居宅を訪問して、主治医の指示や連携により行う看護 (療養上の世話又は必要な診療の補助)です。

 

病気や障がいがあっても、医療機器を使用しながらでも、居宅で最期まで暮らせるよう に多職種と協働しながら療養生活を支援します。

 

訪問看護は、どんな看護をする?

主治医と密に連携し、心身の状態に応じて以下のような看護を行います。

 

身体的・精神的な看護はもとより、入退院(入所・退所)についてのご相談、必要に応じた在宅ケアサービスの紹介、関連機関との連携などにより、利用者様のご希望に沿った療養生活を 叶えるための様々な支援や調整を行います。

 

  • 健康状態のアセスメント
  • 日常生活の支援
  • 心理的な支援
  • 家族等介護者の相談・助言
  • 医療的ケア
  • 病状悪化の防止(予防的看護)
  • 入退院時の支援
  • 社会資源の活用支援
  • 認知症者の看護
  • 精神障がい者の看護
  • リハビリテーション看護
  • 重症心身障がい児者の看護
  • エンドオブライフケア など

 

■健康状態のアセスメント

  • 全身の健康状態(体温、呼吸、脈拍、血圧、体重、筋力、視力、聴力、皮膚の状態、意欲、意思疎通、認知・精神状態、睡眠、栄養状態、排泄状況等)のアセスメント
  • 病状や障がいのアセスメント
  • 日常生活に影響を及ぼす要因のアセスメント

 

■日常生活の支援

  • 清潔ケア(清拭、入浴介助等)
  • 栄養管理及びケア(食事摂取への支援、脱水予防等)
  • 排泄管理及びケア(排泄の自立支援、ストーマ管理、適切なおむつ使用等)
  • 療養環境の整備(適切な福祉用具の使用等)
  • コミュニケーションの支援

 

■心理的な支援

  • 精神・心理状態の安定化のケア
  • 睡眠等日常生活リズムの調整
  • リラックスのためのケア
  • 希望や思いを尊重した生活目標に沿った支援(生きがい、家族や隣人とのつながりなど)
  • 家族や関係職種間の人間関係の調整
  • 利用者の思いの尊重、尊厳の維持
  • 利用者の権利擁護(代弁者(アドボカシー))

 

■家族等介護者の相談・支援

  • 介護・看護負担に関する相談
  • 健康管理、日常生活に関する相談
  • 精神的支援
  • 患者会、家族会、相談窓口の紹介

 

■医療的ケア

  • 医師の指示に基づく医行為(点滴注射、褥瘡・創傷処置等)
  • 医療機器や器具使用者のケア(経管栄養法管理、様々な留置カテーテルの管理、在宅酸素療法管理、吸引、人工呼吸器使用上の管理等)
  • 疼痛、血糖コントロール、脱水等の症状マネジメントと医師等への情報提供
  • 服薬管理
  • 急変、急性増悪等による緊急時対応(24時間体制)
  • その他、主治医の指示による処置・検査等

 

■病状悪化の防止(予防的看護)

  • 褥瘡・拘縮・肺炎・低栄養等の予防、健康維持・悪化防止の支援
  • 寝たきり予防のためのケア

 

■入院(入所)退院(退所)時の支援

  • 退院(退所)時の連携(医療処置・ケアの引継ぎ、在宅医療・看護体制整備)
  • 入院(入所)時の連携(在宅での医療処置・ケア等の引継ぎ等)
  • 相談支援専門員(障害福祉)、ケアマネジャー(介護保険)等関係者間との連携
  • 入院病院、入所施設、関係機関等との連携

 

■認知症者の看護

  • 中核症状、BPSD(認知症の行動・心理症状)に対する看護
  • 睡眠、食事等生活リズムの調整
  • コミュニケーションの支援
  • 家族等介護者支援
  • 環境整備、事故防止のケア

 

■精神障がい者の看護

  • 精神症状に対する看護
  • 睡眠、食事等生活リズムの調整
  • コミュニケーションの支援
  • 掃除、洗濯、買い物、料理、金銭管理等日常生活の自立支援
  • 服薬、デイケア、外来通院等医療の継続支援
  • 就労等、社会生活復帰への支援

 

■エンドオブライフケア

  • 全人的疼痛、苦痛等の緩和ケア
  • 食事・排泄・睡眠・休息運動等療養生活の支援
  • 療養環境の調整
  • 看取りの体制への相談・アドバイス
  • 本人・家族の精神的支援
  • 遺族へのグリーフケア

 

■リハビリテーション看護

  • 体位変換、ポジショニング、関節可動域訓練等の実施と指導
  • ADL・IADLの維持・向上のための訓練
  • 福祉用具(ベッド・ポータブルトイレ・車椅子・自助具等)の利用支援
  • 外出・レクリエーションの支援
  • 生活の自立・社会復帰への支援

 

■重症心身障がい児者・医療的ケア児の看護

  • 医療機器や器具使用者のケア(様々な留置カテーテル管理、吸引、経管栄養法管理、気管カニューレ・人工呼吸器使用上の管理等)
  • 発達過程・障がいに応じた看護、生活リズムの調整
  • 家族支援
  • 社会資源(公費負担医療、各種手帳、医療費助成等)の活用支援
  • 療育・教育機関との連携
  • その他主治医の指示に基づく医療処置

 

■社会資源の活用支援自治体の在宅ケアサービスや保健・福祉サービスの紹介

    • 民間や関連機関の在宅ケアサービスの紹介
    • ボランティアサービスの紹介
    • 各種サービス提供機関との連絡・調整
    • 住宅改修、福祉用具導入等の相談助言
    • 公費負担医療制度、医療費助成制度等の活用支援

 

訪問看護をしてくれる機関

■訪問看護ステーション

    訪問看護ステーションは、介護保険法に基づき、都道府県知事(または政令市・中核市市長)の指定を受け、保健師または看護師が管理者となって運営する事業所です。

訪問看護従事者として看護師・准看護師・保健師・助産師(健康保険法の訪問看護のみ)を最低でも常勤換算2.5名配置しています。

 

また、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を適当数配置し、訪問看護の範疇でリハビリテーションを実施している事業所もあります。

在宅で療養される方に、主治医から交付される訪問看護指示書に基づき、訪問看護サービスを提供します。

 

介護保険の利用者では、訪問看護指示書及びケアプランに沿って訪問看護計画を作成し、訪問看護サービスを行います。

訪問看護ステーションは、利用者様の主治医の所属機関を問わず、訪問看護指示書の交付によって訪問看護サービスを提供する地域に開かれた独立した事業所です。

 

保険医療機関ではありませんが、訪問看護には各種保険や公費が適用されます。

 

医療保険(後期高齢者医療、健康保険)、介護保険、公費負担医療制度などから訪問看護の費用が給付されるので、利用者様は保険の種類や所得等に応じてかかった費用の1割~3割(生活保護の対象者は負担なし、自立支援医療制度の精神通院医療では所得に応じた自己負担上限額まで)を負担します。

訪問看護ステーションは、全国に約13,003ヵ所(2021年4月1日現在)開設され、最近は駅や街角などでも、訪問看護ステーションの看板を多く見かけるようになり、利用しやすくなっています。

訪問看護ステーションの所在地情報は、市役所・区役所などの介護保険担当部署やインターネットで公開されています。(インターネット検索の場合は「介護事業所検索・介護保険サービス情報公表システム」から「訪問看護」さらに「都道府県・市町村名」と絞り込んでください。)

※なお、一部の訪問看護ステーションでは、オプションサービスとして保険外の訪問看護を実施している場合もあります。

 

■保険医療機関(介護保険法のみなし指定訪問看護事業所)

    病院や診療所で「訪問看護部門」を設けたり、外来部門が兼任するなどして保健医療機関から提供される訪問看護サービスがあります。

 

この場合、保健医療機関は、原則として介護保険法のみなし指定訪問看護事業所として扱われ、訪問看護ステーションと同じく介護保険・医療保険での訪問看護が可能です。

主治医は当該保険医療機関の医師であるため、訪問看護指示書の交付は不要で、診療録に指示が記載されます。

 

また、精神科を標榜する保険医療機関からは精神科訪問看護・指導を行います。

 

■定期巡回・随時対応型訪問介護看護(みなし指定訪問看護事業所)

    介護保険制度の地域密着型サービスの一つで、要介護者に定期巡回の訪問介護と訪問看護を一体的に24時間体制で提供するサービスです。

当該サービスに常勤の看護師1名を含む常勤換算2.5人以上の看護職員が配置されている場合は、「みなし指定訪問看護事業所」として、医療保険の訪問看護も提供できます。

 

■看護小規模多機能型居宅介護(みなし指定訪問看護事業所)

    介護保険制度の地域密着型サービスの一つで、要介護者に訪問介護、訪問看護、通所介護と宿泊サービスを複合して提供するサービスです。

当該サービスに常勤の看護師1名を含む常勤換算2.5人以上の看護職員が配置されている場合は、「みなし指定訪問看護事業所」として、医療保険の訪問看護も提供できます。

 

■民間企業の訪問看護サービス(各種保険外)

    民間の企業などが行う医療保険制度・介護保険制度外の訪問看護サービスで、各種保険は適用されませんが、訪問看護ステーションや病院・診療所からの訪問看護と同様、看護師等による訪問看護を提供しています。

利用料金等は、各サービス機関で規定されており、利用者様との契約で行われるサービスで、オリジナルに富んだメニューが用意されています。

 

例えば、遠距離の外出支援や長時間の滞在、受診時の同行など各種保険では対応が難しい事案への対応も可能です。